石叫■           「ヨセミテ2011」

 今年もヨセミテに行って来た。否、僕には「また帰って行った」と云う表現が適切なのかも知れない。それほどに慕わしいその地の本年版をご紹介しよう。

今年は車一代で行って来た。一行五名である。こんな小人数は二十年前にオレンジ郡教会でファミリー・キャンプをスタートして以来、初めてであろう。一方、多くの参加者の場合、キャンプ場を予約しない「早い者勝ち」で行く私たちにとって、そのサイト確保にいつも頭を悩ませてきたので、今回は気が楽だ。万が一キャンプ場が閉鎖されていても、一台だとどうにでもなるからだ。

今回もヨセミテの清涼な空気と木々の芳香が私たちを歓迎してくれた。杉や松などの針葉樹林が延々と続く中をいざなわれるようにヨセミテの奥座敷に入って行く。今回のブライダル・ベール・クリーク・キャンプ地はロッジポール・パインの森に囲まれていて、昔インディアンが彼らの住まいであるティピーを作るために、真っ直ぐに伸びたこの木が使われたという。キャンプサイトの近くに彼らがどんぐりを轢くために花崗岩をうがった痕跡が六ヶ所ほど残っているが、朝夕その森林浴をエンジョイしながらの食事は豪華そのものであった。

二日目はヨセミテ渓谷の滝めぐりである。ブライダルベール滝、ヴァーナル滝、それに世界第三の落差を誇るヨセミテ滝の散策である。今年は例年になく雪が多かったせいでいつになく水量が多く、それは実に見事な景観であった。

その午後四時過ぎにキャンプ場に帰って来た私たちは早速ご飯を炊いた。ところが、間もなくしてコンロの燃料が途中で切れてしまった。スペアーは車の中にあるが、車は薪拾いに使われていて、しばらくは帰っては来ない。でもコンロで炊いている以上、車の帰りを待つしかない。ようやく帰って来た車に飛びつくようにしてスペアーを取り出して再び焚き始めたのだが、どうも不安である。「赤子泣いても蓋取るな」と古来から言われるほど炊飯の蓋は取ってはならないのだが、いつもとは違って今回は何度も開けて見てご炊飯の状況を確認しなくてはならなかった。幸いにして美味しくご飯が焚けたが、それと一緒に食べたスパムとチャンコ鍋が絶品で、つい僕も何度かお代わりをしてしまった。

箴言に「飢えた者には苦い物でさえ、みな甘い」(27:7)とある。空腹時には、どんな物でも美味しくいただけるように、大自然という神のふところに抱かれての食事は魂の飢え渇きさえも十分に満たしてくれるようで、不思議と心が静まってくる。神と一体だという思いが心を平安にするからなのであろう。