石叫■           「真夜中の叫び」B

さて、27日の月曜日、ベルフラワー・カイザーのガン専門シモンズ医師のオフィスに行った。CTスキャン、レントゲン、麻酔をしての脊髄液抽出などの過程と初診を終えて二週間振りの診察である。果たしてどんな結果が待っているのだろうかと思うと何となく落ち着かない。CTスキャンの結果はどうなのだろう。顔面だけではなく、もしも体全体にガンが拡がっていたらどうしよう。キモセラピーをするとどうなるのだろう。喉頭ガンで放射線治療をした僕の父のように患部が焼けただれてしまったらどうしようなどと考えてしまう。

ガン治療にかけて彼女は他の専門医からも評判の良い医師のようで、実にハッキリとした物の言い方をされるし、信頼できる感じの良い人で、病状を詳しく説明してくれる。その彼女のカウンセリングに大きな期待を寄せていた。

彼女は前回がそうであったように、作成した診断書の裏を使って一つ一つの症状と可能性について話してくれた。彼女は開口一番こう言った。「ついさっきまであなたの心臓担当医師と話していました。それによるとあなたのガンはとっても珍しい種類のものです。このガンは臓器移植をした人に出来る特有のものです。でも心臓移植をした人で、あなたのように鼻腔にガンのできた人は世界をみても4〜5例にしか過ぎません。CTスキャンでも顔以外にはガンが広がっていないようです。ですから放射線治療も考えていますが、まず患部を縮小させる薬を投与してみましょう。そしてその様子を診ましょう」と言った。

さて、今回の私たちにはシモンズ医師が節子を診て何と言うかが楽しみであった。もちろん私たちにはガンが縮小しているのが分かっていたのだが、彼女はどうやらそれに未だ気づいてはいない。そこで節子が「ガンが小さくなっている」と切り出した。更にそれを僕が補足すると、彼女は「そうかしら、あまり変わっているようには見えないけど・・」と来るではないか。チョイトがっかりしたのだが、さもありなん。多くのガン患者を診ているので、いちいち気づかないのであろう。それに傍目に見えるほどの大きな変化ではないからだ。

ヨハネ福音書に「水をくんだ僕たちは知っていた」(2:9)というカナの婚宴で水をぶどう酒にかえた主イエスの最初の奇跡が記されている。たとえドクターは知らなくても直接関わってきた私たちには、これが神のみ業であることは分かっていた。この体に染み込んだ神体験はまた一つ私たちの信仰の財産となった。痛みの中から見上げる主イエスの十字架が以前にも増して輝いている。